CabalによるHackageへのアップロードとSetup.hsの使い方

CabalでHackageにパッケージを上げたのでやり方をまとめておきます。

0.Hackageのアカウントを用意する

Hackageはダウンロードなら誰にでも出来るようになっていますが、アップロードするにはアカウントが必要になります。説明を読んで、ross@soi.city.ac.ukに(英語で)ユーザ名と初期パスワードをもらいましょう。

1.cabalファイルとSetup.hsの生成

次に、cabalコマンドを使って必要なファイルを.tar.gz形式のパッケージにまとめます。まずはアップロードしたいプロジェクトのディレクトリ内で

$ cabal init

をすると、パッケージ名や作者名を対話的に設定してくれます。この設定ファイルはプロジェクト名.cabalという名前で保存されますが、同時にSetup.hsというHaskellコードも生成されます。これはプロジェクトをビルドするために使うものです。

2.cabalファイルの修正

.cabalファイルは自動的に生成されますが、ほとんどの場合はここから手動で手直しをする必要があると思います。runhaskellコマンドを下のように進めていって順に問題点を洗い出しましょう。

$ runhaskell Setup.hs configure
$ runhaskell Setup.hs build
$ runhaskell Setup.hs install

この時によく使いそうな.cabalの項目は

  • description: パッケージの詳しい説明
  • extra-source-files: 追加のソースコード
  • data-files: 画像などの添付データ
  • build-depends: 依存しているパッケージ
  • ghc-options: GHCに与えるオプション

の辺りかと思います。

詳しい.cabalとSetup.hsのドキュメントはUser's Guideにあります。詰まったときにはFAQも参考になります。

3.パッケージのチェックとアーカイブ

パッケージが無事ビルドできるようになったら、最後のチェックをします。

$ cabal check

これでパッケージの設定におかしなところがないかをチェックしてくれます。この作業はHackageのウェブサイトでも登録なしに可能です。

チェックが済んだらパッケージを.tar.gzにまとめます。

$ runhaskell Setup.hs sdist

これでdistディレクトリに完成したパッケージが出来るはずです。

4.パッケージのアップロード

最後にパッケージのアップロードです。

$ cabal upload パッケージ.tar.gz

ユーザ名とパスワードを求められるので、それを入力すればアップロード完了です。この作業もウェブサイトで出来ますが、なぜかcabalを使った方がかなり速いようです。

アップロードが終われば自分のパッケージをcabalからインストールできるようになっているはずです。

$ cabal update
$ cabal install パッケージ名

補足

cabalによるインストール時にはビルドしたバイナリとデータフォルダが別の位置に置かれるため、データフォルダのある場所からバイナリを起動する必要があるようです。
http://haskell.g.hatena.ne.jp/horaguchi/20080922/1222087909

また、それでは困るという場合にはこの辺りが参考になりそうです。
Accessing data files from package code

HaskellでFizzBuzzやってみた

Twitter見てたらFizzBuzzの話題が流れてたので書いてみた。

最初に考えたのがこれ。引数 n 以下のFizzBuzzを文字列にして返す再帰関数を定義した。

fizzbuzz 1 = "1"
fizzbuzz n = fizzbuzz (n - 1) ++ " " ++ case (mod n 3, mod n 5) of
    (0, 0) -> "FizzBuzz"
    (0, _) -> "Fizz"
    (_, 0) -> "Buzz"
    otherwise -> show n

main = getLine >>= putStrLn . fizzbuzz . read

もっと簡単な書き方をしてる人がいないかと思って調べたら、mapを使っている人が多い感じ。

そこでfizzbuzz関数を引数 n 一つ分の文字列を返すように変更。

fizzbuzz n = case (mod n 3, mod n 5) of
    (0, 0) -> "FizzBuzz"
    (0, _) -> "Fizz"
    (_, 0) -> "Buzz"
    otherwise -> show n

main = do n <- getLine
	  putStrLn $ unwords $ map fizzbuzz [1..read n]

unwordsで文字列の配列を" "を挟んで連結できるらしい。だいぶHaskellっぽくなったかな?

$ ghc fizzbuzz.hs -o fizzbuzz
$ ./fizzbuzz
100
1 2 Fizz 4 Buzz Fizz 7 8 Fizz Buzz 11 Fizz 13 14 FizzBuzz 16 17 Fizz 19 Buzz Fizz 22
 23 Fizz Buzz 26 Fizz 28 29 FizzBuzz 31 32 Fizz 34 Buzz Fizz 37 38 Fizz Buzz 41 Fizz
 43 44 FizzBuzz 46 47 Fizz 49 Buzz Fizz 52 53 Fizz Buzz 56 Fizz 58 59 FizzBuzz 61 62
 Fizz 64 Buzz Fizz 67 68 Fizz Buzz 71 Fizz 73 74 FizzBuzz 76 77 Fizz 79 Buzz Fizz 82
 83 Fizz Buzz 86 Fizz 88 89 FizzBuzz 91 92 Fizz 94 Buzz Fizz 97 98 Fizz Buzz

Haskellでクイックソート

Haskellに限らず関数型言語の紹介では、プログラムの簡潔さを表すのにクイックソートがよく使われます。Haskellクイックソートを書くとこんな風になります。

--qsort.hs
qsort [] = []
qsort (x:xs) = qsort [y | y <- xs, y < x]
               ++
               [x]
               ++
               qsort [y | y <- xs, y >= x]

main = print (qsort [1, 3, 2, 5, 4])

Haskellではリスト xs の先頭に要素 x を付け加えたリストを生成する操作を x : xs と書くのですが、qsortの2行目では受け取ったリストを逆にパターンマッチで先頭 x とそれ以降 xs に分割しています。
その後、

  • xs の中から順に要素を取り出して y として、y < x を満たす y で作ったリストをqsortする
  • x をそのままリストにする
  • xs の中から順に要素を取り出して y として、y >= x を満たす y で作ったリストをqsortする

ということをしてから++で連結しています。[ ]で書かれた内包表記はほとんど数学の集合の表記そのままになっています。

これを実行すると、

$ ghc qsort.hs -o qsort
$ ./qsort
[1,2,3,4,5]

となり、確かにソートされていることが分かります。C言語などで書くと複雑になるクイックソートをとても見通しよく書くことができました。